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さらばレガシータイトル

2023年4月13日(木)
編集:MASA

YouTubeを見ていると動画編集に使う編集ソフトに関する動画のサムネイルをちょいちょい見かける。初めて動画編集する人向けが多いように見受けられるが、そこで紹介されている編集ソフトは大抵2つ。DaVinci Resolve (DVR)とPremiere Pro (Pr)だ。どちらかというとPrの方が簡単で、DVRは使い方に別の目的がある場合に使う印象。例えばカラーコレクションとカラーグレーディング。もともとそっちのソフトだったから、今でも映像の色処理をする際に使うという人が多い。

自分がメインに使っているのはPr。バージョン1から使っていて、現行最新版はバージョン23。そして、この度の23でとても大きな変化が訪れたので、今回は自分の仕事道具・Premiere ProのことをAdobe社の回し者にでもなったような視点で書くことにする。
ちなみに、我が社で採用している編集ソフトはEDIUS Proってヤツ。だけど、自分は個人的に納品前までの編集にPrを使っている。

さて、自分がアシスタントディレクター(AD)として入社した2004年まで遡ろう。EDIUS Proと同じメーカー製のDV Stormでモザイクを入れるのが私の最初の編集の“仕事的なもの”だった。 “的なもの”とは、仕事とみなされていなかったから。モザイク入れ専門の部署があったのに、納品の遅いディレクターのためにADがモザイク入れをしなければならず、それは会社から任務として命じられている本来のAD業務ではない。ADがモザイク入れをしても給料は上がらないし、ディレクターが納期を守ればモザイク入れは専門部署がやる。実に無駄で余計なことをしていた。でもその余計な事の数々が後々の自分の編集人生で役に立っているのだから不思議だ。無駄で余計なこともやってみるものだと人生を振り返った。

話がずれて来たので元に戻す。
我が社ではまだまだテープ編集が行われていた2005年。初めてコンピレーション作品(=総集編のような、お得感のある作品)の制作が命じられた。自分はテープ編集をせず、敢えてPremiere Prover.1.0での編集を試みた。DV Stormにバンドルされて編集ソフトがPremiere Pro ver.1.0で、業界ではおもちゃ扱いされていた感すらあった代物だ。随分、思い切ったことをしたと今思う。そのPrの使い方を勉強しながら、コンピ制作したのだから…。
そうしてできた自分の記念すべき第1号2時間作品「自己破産女が対決!金の為にここまでやったバカ女たち」…視聴者数が良かったにもかかわらず、後のコンプライアンスの遵守ってヤツのおかげで、お蔵入りを果たす。なんてこった…。

おっと、また話がずれてきたので再び元に戻す。
テープ編集ではなく、Prを使ってみようと思った最大の理由は、テロップ入れにある。当時、テープ編集をした後でテロップ入れをするのはISISというシステムを使った。はっきり言って自分はそれが下手だった。先輩ADに比べるとかなり時間も必要とした。慣れれば超手軽なISISなのだが、1年目でいまいちコツがつかめなかったか、そもそも不得意な類いのものだったか、とにかく下手だった。それで、簡単に正確にテロップ入れできる術を求めたのがPrだったのだ。

Prにはタイトル(テロップ)作成ツールTitle Designer(後にレガシータイトルと名称変更して消える)があった。

これなら綺麗なテロップを簡単に入れられるのではないかと食い付いた。正直面白かった。ISISで思うようにできなかったこともできた。カラフルにオシャレにデザインすることも可能だった。(結果、ダサいテロップになることもしばしば。TVテロップには見やすさと言う点で基本とルールがあるのを知らなかった)何とか無事に作品を作り上げ、それ以来、自分は編集マンを志す。ディレクターになろうという気持ちよりエディターになることへの気持ちが増していた。

時は流れ、2022年。Premiere Pro ver.23にバージョンアップ!

MacのFinal Cut ProXから利用者離れがあってAdobe Premiere Proが今では国内シェア第1位。使いやすさと言う面でもバージョン1から23まで来ただけあって、全く別物レベルに成長。一方でタイトル(テロップ)作成ツールだけは変わらず、むしろ、バグが発生する事態に。Title Designer(レガシータイトル)が古いプログラムで書かれており、プログラムした当時の担当者がいない。バグが出ても修正できなくなっていたAdobe社のPr担当チームは一大決心。ついにタイトル(テロップ)作成ツールを変更することに!

しかし、使用者としては大事件。代わって採用されるエッセンシャルグラフィックスの初期型はヒドイものだったから。使い物にならず日本のクリエーターたちがユーザー会を通してAdobeにはたらきかけた。「新ツールのエッセンシャルグラフィックスがTitle Designer(レガシータイトル)でできることと同等レベルにできるまでTitle Designer(レガシータイトル)を無くすな」と。おかげでしばらく併用することになった。

新ツールは徐々に改良されアップデートされるけれどまだまだ使い物にならないレベル。旧ツールはバグやエラーが出る。そんな年月がしばらく続く。なんやかんやで、自分のテロップ入れは、Photoshopで作成したテロップデータをPrにのせる従来の方法になった。従来、ポストプロダクションや編集ソフトにタイトル(テロップ)作成ツールが無い、あるいはEDIUS Proのように簡易的なタイトル作成ツールしかない場合などで行われてきた基本的な方法に逆戻りしたのだ。(でも、本当はそれが唯一無二の一番良い方法かも…。)

そして、ついにPremiere Pro ver.23でTitle Designer(レガシータイトル)が消えた。感慨深い。同じAdobe製品のAfter Effectsも良く使うけれども、やはりTitle Designer(レガシータイトル)は手軽で綺麗なテロップ作成に便利だった。バグが出始めてからは、新ツールが早くレガシータイトルを超えるものになって登場するのを今か今かと待ち望んでいた。
それが、ようやく実現。使ってみると仕事がはかどる!はかどる!
綺麗なテロップを簡単に作れるし、モーション等のエフェクトを手軽に追加して、その操作も可能になった。

もはやTitle Designer(レガシータイトル)は完全に不要。
さらばレガシータイトル!
こんにちはエッセンシャルグラフィックス!

我が社の作品はディレクターが個々でテロップを入れて作るのが通例。しかし、一部のディレクター作品に自分がテロップを入れる機会がある。それももちろんPrで行っている。正直、EDIUS Proとは使いやすさ、機能、利便性において別次元。それはタイトル(テロップ)作成ツールに限らないのだが、テロップ作成ツールだけでも使用価値は十分すぎるくらいにある。テロップはただの飾りではなく、作品の質や雰囲気を左右する重大な演出であるから、クセの強いEDIUS Proのクイックタイトラーを使い続けるよりも手軽で簡単にきれいなテロップをすべてのディレクターが作れれば理想的だ。クイックタイトラーを超絶的に使いこなすプロが世の中にいても正直そのマネはできない。手間が掛かりすぎる。ゆえに、今後はPrを使ってみるように他のディレクターらに提案してみるつもりだ。

文頭に戻り、初めてYouTube等で初めて動画作成を人へ。
自分は他のユーチューバーと同じことを言う。
是非、Premiere Proを使ってみて欲しい。

Adobe Premiere Pro サブスクリプション 2,728円/月

※出典:アドビ株式会社 (Adobe KK)