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WEBカメラがキライだった

2021年7月8日(木)
デザイナー J.U.

そもそも、リモートワークには懐疑的な考え方だった。

「通信空手でホントに強くなったヤツっているのか?」というのがその論拠である。リモートの講義だけでオリンピック選手やプロスポーツ選手が育成出来るならやってみろ、という話だ。

’90年代からいわゆる「ホームページの管理人」をやって来たが、コミュニケーションが完全で無いが故に起こったトラブルを、それこそ何百回も見て来た。対面で話していれば相手の顔色がわかり、「あ、ちょっと怒ってるな?」と気付いてトラブル回避に動く、大人だったら誰もが簡単に出来る事がネット上では難しい場合がある。そして、「目玉焼きには醤油かソースか」ぐらいの些細な論争をきっかけにサイトが真っ二つに分かれて炎上する。そこで管理人が対応を誤ると修復不能となり、サイト自体が崩壊する。本当にそんな事が起きる。不完全なコミュニケーションというのは、徹底力に欠ける上、危険でもあるのだ。

ついでに言えば、WEBカメラがキライだった。

別にイケメンでも無いのでどうでも良かったのだが、昔から自分が撮られる事に何故か抵抗を感じる。YouTubeやニコニコ動画が普及する以前から、リーレで100回以上はWEBカメラ配信を行って来たのに、自分がカメラに収まるのはイヤなのだ。

「WHO AM I (邦題:ピエロがお前を嘲笑う)」という映画がある。コンピュータのハッカーを描いた作品なのだが、この映画の後半でハッカー同士が戦うシーンがある。要するにPCの乗っ取り合戦をする訳だが、相手のPCを乗っ取って「お前の負けだーーーっ!!!」とやる時に、相手のPCのWEBカメラを起動させて、相手の画面に相手の顔を映す。つまりネット上に顔バレさせる訳だ。負けた方は位置情報もバレているので、強制自撮りをさせられた直後に現地の不良や警察にリアルで追われる、という図式だった。

いやいやいやいや、マズいだろう。そもそもWEBカメラなんかつけたPCを使っているからセキュリティ上いかんのだ。などと得意の妄想を平和に垂れ流していたのだが…

 

…ところが、世界の方が変わってしまった。予告なく、容赦なく、疑う余地もなく。

 

「誰もが世界を変えたいと思うが、誰も自分自身を変えようとは思わない。」

これはトルストイの言葉だが、後年毛沢東も似たような事を書いている。私は社会主義者や共産主義者では無い上、毛沢東は好きな人物では無いが、その言葉は時として役に立つ。

変わらなきゃいかんなあ…と思った。

社内でビデオ会議が普及していく中、ふとした疑問が起きた。ビデオ会議はやっぱり身振り手振りをつけた方が伝わるんじゃないか?という素朴な疑問だ。

リーレはYouTube向けのコンテンツも出しており、よりユーザに見てもらえるよう研究や修正をチームで行っているのだが、ただ椅子に座って動かずにしゃべり続けるよりも、身振り手振りを交えた方が視聴維持率が上がり、結果として収益が上がるという事は知っていた。ビデオ会議も同じなんじゃないだろうか?

そんな折、西村博之(ひろゆき)氏がビデオ会議の画面でスタジオに出演する動画を見た。普段はノートPCの前にのたーっと座っている印象だが、この時は大げさな程身振り手振りをつけるつける。やっぱりそうか!と思い、その後は私も真似して出来るだけ身振り手振りをつけて話すよう努力している。日本人でそういった習慣が無いため、気付くとしょっちゅう忘れているが。

今ではそれなりに環境も整い、「WEBカメラならこのメーカーがオススメ」とか、「このメーカーのPCはコスパはいいけど納期が遅い」だとか周りに吹いて回る始末だ。リモートに懐疑的な部分はまだ残るが、それは自分の意見として良しとしておこう。

Only One、自我が無ければ無価値だが、変わらなければ生き残れない。即ち流動とバランスの問題なのだろう、と思う。